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最終更新: 2020年2月17日

 メンバーの森元です。

作業療法士として30年、様々な臨床現場を経験しました。現在、特養に勤務しており、今年で特養5年目になります。

 私は作業療法士という職業柄、福祉機器が元々好きで、今勤務している特養にも福祉機器・介護ロボットを沢山導入しています。職員は私より大分若いので、皆惚れ惚れするほどカッコ良く使いこなしています。


 最近、トヨタの新車に乗る機会があったのですが、びっくりしました!音も振動もなくスーッと走る。自動でキレイに駐車してくれる。技術の進歩に愕然としました。(空を飛ぶ日も近いかも…)

 振り返って福祉機器です。私のお気に入りの機器に「スカイリフト」(アイ・ソネックス㈱ http://nasent.sakura.ne.jp/)という機器があります。とても役に立つ機器なのですが、近隣施設では全く見かけません。先日、アイソネックスの担当者に、いつからスカイリフトがあるのか聞いたところ「20年前から今の形であります」と。

 車は数年で技術革新が起こるのに、なぜ福祉機器は20年間変わらないのか。それは私たちが使わないからです。買わないからです。病院ではロボットで手術をしているのに、介護施設ではまだ人が「よいしょ」と抱えている。介護現場は20年前、いいえ50年前と変わらない。医療と介護では報酬構造が大きく異なるので、比較対象には相応しくない面はありますが、それにしても…です。

 私は口惜しくてなりません。今日本の高齢化率は28%を超えていて、介護を受ける人も、介護に関わる人も沢山いて、介護は一大産業です。20年前から福祉機器を私たちが積極的に使っていてくれたら、そうしたら今頃介護分野にトヨタやアップルが出ていたかも知れない。スカイリフトに今以上にもっとスゴイ機能がついていたかも知れない。

 誰も使わなければ、企業は作ってくれません。改良してくれません。だから「使おう」と声をあげたのです。「不十分でも使って、注文を出していこう」と。


 あと、今介護ロボットには補助金が沢山出ていますが、真にその産業を育てるのは、補助金ではなくてユーザーです。自分に介護が必要になった時、周りにどれだけ役に立つ機器が存在するか、それは、今の私たちにかかっています。


 これが、TUMUGが福祉機器にこだわる理由です。



2017年にALSを発症するまで、介護・障害とは無縁の人生を送ってきました。

私の人生の中心には常に「仕事」がありました。徐々に体が動かなくなっていく現実から、私を守ってくれたのも家族と仕事でした。

私にとって仕事は、人との出会いでした。仕事が自分に世界の広がりをみせてくれました。

人が一生のうち知り会える人の数は、たかが知れています。私は手に職や技術が有る訳でもなく、また特別な資格も無いからこそ、一人でも多くの人に出会いたいと自分から積極的に動き、生きてきました。多くの人と仕事を通じて出会い、自分の知らない新たな世界を教えてもらってきました。三十年以上やってきた翻訳の仕事も、様々な言葉を通じて様々な国や、人達の文化や考え方の違いを知る上で、とても良い仕事でした。

声が出なくなり、言葉を話せなくなった今は、これから何を目標にしていけば良いのかと日々考えています。

ALSを発症した人達は、その七割が気管切開をする段階で人生を諦め、命を捨ててしまっているようです。私も最初は気管切開をすれば、家族や仕事関係にも迷惑をかけるだけだから、生きていてもしょうがない、と思っていました。でも、家族の言葉、そしてこの病気になってから、健康な時には決して知る事が出来なかった介護や重度障害の世界、そしてそれに関わる人達との出会いによって、見た目はこんな身体でも、自分はこれまでと何も変わらない、この病気でなければできない役割もあるのではないかと思っています.

仕事がみせてくれた世界の広がりを、可能性を、自分に続く人や自分の仲間にもみてもらいたい。障害をもっていることだけで、それを諦める必要がないことを、TUMUGの活動で体現したいと思っています。

(洲崎財団継続助成申請書より抜粋)

                                理事長  中島 清雄